地域医療の限界を超えていきたい。
現在クリニックには、関東圏を中心に北海道や熊本県、岩手県、静岡県からも患者さんが来院しています。本来は、患者さんが住み慣れた地域で治療していただくことが、患者さんの通院時間や交通費などの負担も少なく最適だと考えています。また、患者さんにとって疾患毎にクリニックや病院を変えることも大変なことかと思います。患者さんが治療に専念しやすい環境を作るには、これまで通院されている地域の病院様やクリニック様と密に連携し、地域医療格差ゼロを現実にしなければなりません。
そのために取り組んでいることの1つに「リウマチ治療のHUBとなるクリニック作り」があります。リウマチの名医である田中良哉教授(産業医科大学医学部第一内科学講座)、湯川尚一郎助教(京都大学附属病院 免疫・膠原病内科)、山岡邦宏准教授(慶応義塾大学病院リウマチ内科)をお迎えして、最前線のリウマチ治療を当院で受けていただける体制を構築しています。リウマチで不安を抱えている方に、湯川リウマチ内科クリニックをリウマチ治療のHUBとして利用していただければと思います。
そしてもう1つ「日本全国の病院・クリニックとの連携」を積極的に行っています。当院で生物学的製剤などの治療導入を終えた後は、当院に通わなくとも通院中の病院・クリニックで継続的に治療が行えるように患者さんをお戻ししています。この病診連携・診診連携の取り組みを日本全国に広げることで、日本中のリウマチ患者さんにご自身に合った納得のいく治療を受けていただくことが私の夢です。
リウマチとは?
正式名称は、関節リウマチ(通称、リウマチ)は、関節が腫れ、放っておくと関節が変形してしまう病気で、全国で約80万人と言われ、かなりポピュラーな病気の一つですが、正確な情報が知れ渡っていない、誤解された病気でもあります。
リウマチは、関節が破壊され、変形して動かなくなってしまう病気です。
最近の研究では、関節破壊はリウマチの発症後、早期から進行することが明らかになりました。
しかし、早期に発見して、早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールし、関節破壊が進行するのを防ぐことができます。
症状
リウマチの初期症状は、
- •どことなく気分がすぐれない
- •身体がだるい・疲れやすい
- •眼や口の渇き
- •口内炎
- •微熱が続く
- •食欲の低下
- •体重の減少
- •朝の全身の関節のこわばり
などですが、過労やストレスと思われがちです。
最大の特徴である朝の全身の関節のこわばりは特に手指の第二、第三関節で気づきやすいです。(朝のこわばりが出始めると関節の痛みや腫れが現れます。1箇所だけでなく、左右対称性に多くの関節に認めるようになります。)
症状が進むと手、手指、肘、肩、膝、足、足趾などの関節の痛み・腫れや全身の臓器にも症状が現れるが現れることがあります。
症状が出やすい部分
リウマチは関節だけの病気でなく、全身の臓器に症状が現れることがあります。このため、リウマチはきちんとコントロールされないと10才寿命が縮まってしまう事が分かっております。そのため、早い時期にきちんと診断し、きちんと治療することがとても重要であります。
治療法
リウマチの治療法として、症状や進み具合に合わせて、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが行われます。薬物療法の目的は関節の腫れや痛みを抑え、関節破壊の進行を抑制することです。手術療法には、増殖した関節の滑膜を取り除く滑膜切除術、破壊された関節を人工関節に置き換える機能再建術などがあります。リハビリテーションには、関節の動く範囲を広げ、血液の流れをよくして痛みや筋肉のこわばりをとるための運動療法、患部を温めて痛みやこわばりを和らげる温熱療法などがあります。
治療薬
- ●消炎鎮痛薬(NSAIDs)
- 消炎鎮痛薬は、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。速効性はありますが、関節リウマチの炎症を根底から取り除くことはできません。関節リウマチの患者さんでは関節の腫れや痛みが長時間続くため、消炎鎮痛薬を継続的に服用することがあります。その場合、副作用である胃潰瘍や十二指腸潰瘍に十分に注意する必要があります。主に使われている薬としてロキソニン、モービック、セレコックスなどがあります。
- ●抗リウマチ薬(DMARDs)
- 関節リウマチの原因である免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きがあります。現在の関節リウマチ治療の第一選択薬は抗リウマチ薬です。しかし、一般に効果が出るまでに1ヶ月から半年くらいはかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。効果が不十分な場合には複数の抗リウマチ薬を併用したり、他の抗リウマチ薬に切り替えたりすることがあります。関節リウマチと診断されたら、早期から使用することが推奨されています。
- ●ステロイド
- 炎症を抑える作用が強力で、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬を用いても、炎症が十分に抑制できない場合に用いられます。しかし、ステロイドを中止すると治まっていた関節の腫れや痛みが再発するため、一度使用し始めるとなかなか中止できません。ただし、抗リウマチ薬や生物学的製剤の効果が十分にみられたときは、ステロイドを中止することができます。ステロイドは長期間使用すると、感染症、糖尿病や骨粗鬆症などを引き起こす恐れがあるため、連用する場合には十分な注意が必要です。
- ●生物学的製剤
- 最近になって関節リウマチの治療に用いられるようになった新しい治療薬です。炎症や関節破壊が進行するのを抑えます。生物学的製剤は、抗リウマチ薬に対して効果が不十分な場合に使用します。この薬は注射(点滴または皮下注射)で投与しますが、その間隔は1週間に2回から2か月に1回までとさまざまです。通院回数やライフスタイルに合わせて治療薬を選択することができます。